今のままじゃ嫌だけれど転職する気力もなかった私の、最初の一歩目の話
お題に参加しました。
今回は、一般職五年目の私がずっと抱いていた「迷い」と、迷いながら下した「決断」について。
◇今のままで良いのか?
私の職種は一般職で、事務の仕事をしている。
以前の記事(「平成最後の日」に考えたのは仕事との向き合い方でした)で書いたように、五年目に入って仕事がある程度サクサク進められるようになった反面、モヤモヤとした違和感を覚えることも増えた。
もし私が総合職だったら、こんな風に進めるのに。
もっと違う仕事だったら、モチベーションも上がるのに。
いつまでこんな雑務に追われていなければならないんだろう?
今のまま毎日同じ仕事を続けるの?
あと何年? あと何十年? 一生ずっと?
福利厚生は充実しているほうだし、限りなくホワイトな職場だと思う。
仕事も自分が責任を負うことはない。
お給料が大幅アップすることもない代わりに、大幅ダウンするリスクはほとんどない。
安定した収入のために、心を殺して淡々と仕事をする。
それで良いと思って私は新卒のときに就職活動をしていた。
私は生き甲斐を仕事ではなく、趣味やプライベートの時間に求めようと考えていた。
でも、毎日同じことを繰り返し、子どもでもできるような雑務ばかりをしていると、段々心が死んでいくような気がするのだ。
欲張りだと思う。
責任の伴う仕事をしたこともないくせに、過酷な状況で働いたこともないくせに、そもそも自分が望んでそういう安定した環境に入っていったくせに、一体何を言っているんだと自分でも思う。
ただ、こういうモヤモヤは自分の心に確実にあって、どんどん大きくなっていっているのだった。
◇じゃあ、どうする?
四年目の秋、とてつもなく忙しい時期があった。
人が減ってしまい、部署全体でまったく仕事が回らなくなってしまった。
私も含め全員が追い詰められ、ピリピリとした空気が漂い、しょっちゅう罵声が飛び交うような荒れた状態だった。
そんな状況からの現実逃避のために、あれこれ妄想をしていた。
わからないことばかりだが転職が一番良いような気がした。
とりあえず片っ端から転職サイトに登録し、業種や職種を絞りすぎず希望条件に合致する募集を眺め続けた。
何社か応募ボタンをクリックしてみたが、「面接日程について」だとか「履歴書を送ってください」といったメッセージに反応できないまま終わってしまった。
要するに全部ガン無視した。
我ながら屑である。
転職活動にはエネルギーと時間と金が必要だ。
しかも私にはビジョンもない。
それに転職した結果、元の職場のほうが良かった!となったら元も子もない。
なんだか本当に愚痴ばかりでいたたまれないが、こういうことをぐだぐだ考えながら、ああ~でも面倒臭いな~そんなんする気力もないしな~となってしまい結局今の環境に不満を抱き続けたまま毎日を過ごした。
◇最初の一歩
転機は突然だった。
転職サイトを見ていた訳でもなく、単に出掛けた帰りの電車でネットサーフィンしていたときのこと。
偶然、募集のお知らせが目に入った。
募集要項を二回読み返して、「これだ!」と思った。
どう考えても今の環境より悪化するし将来性があるのかもわからないし自分にとってまるきり未経験で出来るのかもわからなかったが、未経験でも良いらしい。
完全に直感オンリーだった。
あれほど長い期間ぐじぐじと悩み続けていたのが嘘のようだった。
それから一週間も経たないうちに、私はその会社に応募していた。
久しぶりに書いた履歴書は三回くらい書き間違えてしまったが、どうにかそれらしい仕上がりになった。
結構、私は自分の直感を信じているところがある。
長く使うものを買うときもそうだ。
こっちかな~それともこっちかな~と悩んでいる間は絶対に買わない。
本当に欲しいものは、見た瞬間「これだ!」とわかるので少しくらい高くても即購入する。
なので、私はその募集への応募という選択がすごく腑に落ちるというか、正しい行為だという謎の確信を持っていたのだった。
まるきり異業種の異職種にもかかわらず、何故か一次選考を通過した私は面接を受けることになった。
面接なんて新卒の際の就職活動以来である。
かつて何十社もの面接を受けたことは以前(はじめての内々定で散々悩んだ末に結局就活を続行し9ヶ月粘った一般職志望の結末)書いたが、だとしても当時の感覚なんて今や残っていないし物凄く緊張した。
なんなら「もう別に受けなくて良いのでは? 今の職場のほうが安定しているしお給料も良いだろうし。別に面接ばっくれても誰も困らないし。行かなくて良くない? サボる?」という悪魔の囁きが始終聞こえて本当に行きたくなかった。自分で応募したのに。
面接が嫌なのは不安だからだ。
不安なのは準備不足だからだ。
それならば、万全の準備を整えれば良い。
ということで、まず受ける会社について調べた。
企業研究というやつである。
とりあえず企業理念やら何やらを調べたが、実際、そこに書いてあることを読んでもよくわからないというのが本音。
ネットでいろいろ調べていたら社員の方のインタビューを見つけた。
何故この会社で働くことになったのか。
どういう思いで仕事をしているか。
仕事を通じて何を成し遂げたいのか。
社員の方がそういった想いを語られていて、会社のHPよりも断然参考になった。
次に「転職 面接 質問」で検索して、いろんなサイトに書いてあるよくある質問集を片っ端から読んだ。
自分だったらどう答えるかを考えると同時に、自分の気持ちや考えも整理することができた。
(「無人島に持って行くなら何を選ぶか?」とか聞かれたらどうしようかと思った)
当日着ていく服装についても調べた。
特に服装の指定はなかったので、新卒のときのリクルートスーツで良いのかと思っていたがだめらしい。
リクルートスーツは学生が着るもの。
社会人が着るのはビジネスのスーツであり、年齢に合ったものを身につけなければならないのだという。
全然知らなかった……。
ふさわしいと思われる諸々を準備して、ようやく少しほっとした。
◇一歩目を踏み出した後
面接当日はやはり凄まじく緊張した。
事前に準備はしていたが、自分の思いを話したり、質問に対して改めて考えたりするうちに、不思議な感覚になった。
新卒のときのような「失礼致しますっ! ○○と申しますっ! 宜しくお願い致しますっ!」みたいなノリとはまるで違った。
普通にお話をする感じ。
すごく話しやすくてリラックスできる雰囲気を作ってくださり有り難かった。
新卒の面接もこういうノリでやってくれれば良いのに。
一時間くらい話したと思う。
今の仕事のこと、自分がしたい仕事のこと、業界のこと、生活のこと。
たくさん話したし、たくさんお話してくださった。
まだまだ若くていろんな道があるのだから、というようなことを言われて驚いた。
終始穏やかな雰囲気のまま、面接は終了。
結論から言うと、面接からしばらくして受け取ったのはお祈りメールだった。
要するに落ちた。
結局落ちてしまったから、応募して準備して面接した時間は無駄だったとも言える。
形のあるわかりやすい成果は何も得られなかった。
落ち込むかと思ったが、そうでもなかった。
自分でも意外だった。
これまで、私はたくさんの選択肢があるはずなのに、周りが見えなくなっていた。
今の会社で、今のまま、今と変わらぬ仕事を続けなければならない。
何故かそんな風に思い込んでいて、それがすごく嫌だった。
その一方で、新しい環境に踏み出す気力も勇気もなく、ただただ同じ場所で愚痴を言い続け、そんな自分にますます嫌気がさすというループに陥っていた。
今回、面接を受けてみて多くのことに気がついた。
客観的に見て、自分はこう見えるんだ。
自分にはたくさんの選択肢があり、まだまだ何を始めるにも遅くないのかもしれない、と。
さらに今の会社は関係ない方からするとそんな風に見えるのか!という発見もあった。
なんだか逆説的だが、客観的に今の自分の仕事、働き方を説明していると、今の自分がいる環境って悪くないんじゃないか?という思いも芽生えたのだった。
一度受けてしまえば、転職の面接も想像していたほど恐ろしいものではなかった。
新卒のときにあれほど苦労したこともあって、面接への苦手意識が強かったのだが、それも軽減された気がする。
そして何より、一歩を踏み出した、実際に行動を起こしたことが自信になった。
面接のために準備をしているとき、不安ながらも日々の業務とはまるで違うことをしていてワクワクしたし、「あ~嫌だなあ~」と言っているだけだった頃より、自分のことを好きなることができた。
この先どうしよう?
今の職場で働くか、また別のところに応募するか。
振り出しに戻ったようでいて、以前までとはまるで違う。
世界が広がったみたいな感覚がある。
現在進行形で模索中だけれど、これからも迷ったり悩んだりしながら進もうと思う。
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